法律

コンピュータ系の人のためのCoinhive高裁判決の読み方(ウイルス罪とは)

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はじめに

先に言っておきますが、私は法律の素人です。書いてあることの保証は出来ませんのでご注意ください。

Coinhiveの高裁判決は有罪

Coinhiveの高裁判決で有罪判決が出ました。地裁では無罪でしたが、逆の判定が出たわけです。

まずは、法的に、この罪がなんなのか、という点を「プログラマ視点」で書いておこうと思います。

不正指令電磁的記録の供用の罪(ウイルス罪)とは何を守っているか

刑法は、基本的に、何かの保護法益があります。つまり条文が犯罪として刑罰を設定するのは何かを守りたいからです。

このウイルス罪の場合、「コンピュータープログラムの社会一般の信頼性」==「プログラムの信頼保護」を守っています。
簡単に言えば、プログラムが誰でも安心して使えるようにする「べき」という信頼を守ってると言えます。

普通の説明としてはそうなるのですが、プログラマからすれば誰ても安心して作れるようにすべきというのものこのウイルス罪の保護法益に入ってるべきだと思うのですが。

http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b198294.htm

からすると、「プログラムに対する社会一般の信頼」が保護法益なのだから、
プログラムは「使う」のではなく「作る」ものでもある以上「作る」側もこの法律で保護されるべきだと思います。
なぜか誰も指摘してくれませんが。

不正指令電磁的記録の供用の罪とはどういうときに罰するのか

次に、不正指令電磁的記録の供用の罪とは何かというところから行きましょう。

http://www.moj.go.jp/content/000076666.pdf

第168条の2 正当な理由がないのに,人の電子計算機における実行の用
に供する目的で,次に掲げる電磁的記録その他の記録を作成し,又は
提供した者は,3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

一 人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさ
せず,又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える
電磁的記録
二 前号に掲げるもののほか,同号の不正な指令を記述した電磁的記
録その他の記録

簡単に言えば、以下に反すると違反ということになってます。

  • 反意図性 =>「意図に沿うべき動作をさせず」
  • 不正性 => 「意図に反する動作をさせるべき不正な指令」

でも、ほとんどのプログラマが上記を見ると「誤解」しているように見受けられます。

法律というのは、書いてある文字と、意味が違うことが良くあります。
ここでの「反意図性」とは法律用語です。

思いっきりざっくりとプログラマ用に書くと以下になります。

  • 反意図性 => 「一般不正意図性」
  • 不正性 => 「NOT 一般許容性」

反意図性 => 「一般不正意図性」

「反意図性」は「一般不正意図性」と言えると思います。「一般」な観点で(つまりプログラマだけの感覚でいてはいけない)「不正だ」と思われる「意図」を感じる、ことをプログラマ的に表してみました。

プログラマには、「意図と違わなければいいんでしょ?」と思う人もいるのかもしれませんが、それは違います。ここでの「反意図性」とはいわば一般的に不正だと思われることはすべて犯罪ですと言ってること同じです。

法律的には、そうなんだからしょうがない。

不正性 => 「NOT一般許容性」

不正性に関しても「プログラマが不正だと思わなければいい」わけではなく、一般的に誰が見ても許容せざるえない、完全に正しい動作が「ある」ことです。プログラマ用語で変換すると「NOT 一般許容性」とでも言えばいいと思います。つまり「不正性がない」と考えるのは間違いで、誰もが「これなら問題ないよね」という内容が「ない」のが不正性です。

例えば、OSのアップデートプログラム(パッチ)などは、時々OSを使用していると「意図せざる」場合があり得ます。が、OSのアップデートは「誰もがこれなら問題ないよね」という「一般許容性」があります。一般許容性があるので、「不正性」には当たりません。

「一般」とは何か

ここでいう「一般」とは何か式にしてみましょう。

「素人」: コンピュータを知らない人が思う「正当」な行為
「技術者」: コンピュータを良く知ってる人が思う「正当」な行為

「一般」 = A x 「素人」+ B x 「技術者」

AとBは、いわば裁判官が決める変数です。

Aが多い場合、「素人」つまり何も知らない人が納得する割合が多くなります。
Bが多い場合「技術者」が納得する割合が多くなります。

私から言わせると、Coinhiveの高裁判決の場合、Aが90%以上、Bが10%以下ではないかと感じます。それはA,Bの割合は裁判官が決めることなので、不当判決ではありませんが、あまりに「技術者」が納得できる割合が少なすぎると思います。

以降は、個別にいったい何が問題であるか、書いてみたいと思います。

と思うのですが、今の時点でも、以下のように多すぎます。書けるかな。。

  • 新しいことを行っていいという価値観をどう許容するか
    • Webにて新しいことをしていい
  • 仮想通貨は「財物」ではない。
  • 窃盗罪で起訴しない時点で「ウイルス罪」で裁く意味がない。
  • 「Web広告」とCoinhiveは何一つシステム的には変わらない
    • 高裁判決はコンピュータ系のことを何もしらない人が書いてる
  • コンピュータ系のことをほぼ無視した判決は「魔女狩り」と一緒ではないのか

-法律

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